「あの人が辞めたから、みんなでカバーして」——そう言われて、なんとなく頑張れる範囲だと思っていました。でも実際に始まったのは、想像よりずっと重い日々でした。
僕は飲食チェーンで複数店舗を管理する立場で働いています。ある時、一緒に現場を回していた社員が1人辞めました。たった1人分の欠員のはずなのに、僕に振られた業務量は約1.5倍になりました。今日はその「たった1人辞めただけ」で何が起きるのかについて、正直に書いてみます。
「たった1人」が抜けるだけで、なぜ現場は壊れるのか
人が1人減るというのは、単純に仕事量が1人分増えるという意味ではありませんでした。シフトの穴埋め、引き継ぎ、新しい人が入るまでのつなぎ——それらが全部、残ったメンバーに一気にのしかかってきます。しかも飲食の現場は「今日休みます」が許されにくい仕事です。誰かが抜けた分は、その日のうちに誰かが埋めるしかありません。
実際に僕の身に起きたこと
その社員が抜けたあと、僕が任される店舗の管理はそのままに、業務量だけが積み上がっていきました。体感では「1.5倍」というのが正直なところです。家族との時間を大事にしたいと考え始めていた時期と重なったこともあり、体力的にも精神的にもきつくなっていきました。最終的に僕は休職することになりました。休むことは負けだとどこかで思っていたので、これを書くのも正直まだ少し勇気がいります。
正直に言うと、休職を決める前に社長へ相談したのは2回だけでした。1回目は社員が1人辞めると聞いたタイミングで「この状況ではおそらく現場が回らなくなる」と伝えただけ。半年ほど経って改めて「体力が限界です」と業務量の分担を訴えましたが、結果は勤務時間が減って拘束時間が増えただけでした。誰かに本音で相談するというより、会社に「意見する」ことしかできなかったように思います。
数字で見ても、飲食業界の人手不足は他人事じゃない
調べてみると、これは僕だけの特別な話ではなさそうです。2026年の飲食業界は人手不足率が76%を超えているというデータがあり、2026年4月時点では非正社員でも人手不足を感じている店舗の割合が59.1%にのぼるという調査もあります。さらに気になったのが、コロナ禍で一度飲食業界を離れた人材の多くが、製造業や小売業など他の業界に移ったまま戻ってきていないという指摘です。人手不足を解消する新しい人がなかなか入ってこない中で、営業時間を短縮したりメニューを絞り込んだりする店舗が全体の45%にのぼるというデータもありました。現場の「1人抜けたらきつい」は、業界全体の構造的な問題なんだと、数字を見て少し納得しました。
「気合いでなんとかする」には限界がある
正直に言うと、僕は最初「みんな頑張ってるんだから自分も」と気合いで乗り切ろうとしていました。でも人手不足は個人の頑張りでどうにかできる規模の問題じゃないんだと、今は思っています。1人が抜けた穴を、残った1人が気合いで埋め続ける構造そのものに無理があるんだと思います。
まとめ
「たった1人辞めただけ」という言葉の裏には、想像以上に重いものが隠れていることがあります。もし今、同じように誰かの穴を埋め続けて苦しくなっている人がいたら、それはあなたの頑張りが足りないからではないと思います。僕自身、休職して転職活動を始めた今も、正解が見えているわけではありません。それでも、同じ立場で悩んでいる人がいるなら、その気持ちを一緒に抱えながら、少しずつ前に進んでいきたいと思っています。


コメント